田浦 秋の見学会(2)
イラン・イラク戦争においては、ペルシア湾にタンカー航行妨害用の機雷が敷設された。
湾岸戦争においてもイラク軍がクウェート沖合いに機雷を約1,200個敷設した。戦後に日本を含む国際部隊が掃海作業を行っている。とりわけ、紅海やペルシア湾には機雷が数個敷設されただけで、原油価格が大きな影響を受け世界経済が激しく動揺するため、近時テロ目的の機雷が各国により非常に警戒されている。
初めての海上自衛隊派遣に関して、賛否両論の激しい意見が飛び交った。私は危険性の高い機雷掃討に、世界トップレベルにある海上自衛隊が参加して安全性確保に寄与したことは、金銭のみの支援などとは比べ物にならない大きな国際貢献だったという立場に立つ。
掃海艦『はちじょう』の艦内を見る(1)
乗員63名の世界最大級の木造船舶。他の艦船のように鋼板を使用すると、どうしても磁気を帯び、磁気を検知するタイプの機雷、磁気をも作動条件の一つとしている複合型機雷、の餌食になってしまう。そのため、掃海艦艇は従来から木造船である。2016年就役予定の次期開発型は、負荷を軽減すべく、FRP船舶となる予定。
やえやま型掃海艦は深深度の機雷に対応できる機能を持つ。味方の潜水艦が安心して通行できるようにするわけだ。


随分、多数の見学者が乗船しているなあ



『つしま』
はちじょうの反対側に停泊していた。艦体右側を見るのに都合が良いので、何枚か撮ってみた。
『はちじょう』と同型艦。大きさ的には取るに足らない艦船だが、2011年10月、バーレーン沖ペルシャ湾にてアメリカ合衆国とイギリス共催による多国間掃海訓練に日本として初参加した実績を持つ。



「はちじょう」は、中期防衛力整備計画に基づく平成2年度計画掃海艦303号艦として、日本鋼管鶴見造船所で建造され、1991年5月17日起工、1992年12月15日進水、1994年3月24日に就役の後に第2掃海隊群第51掃海隊に配属された。
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潜水艦隊のための航路啓開を主任務としており、従来の掃海艇では対処不可能な深深度に敷設された機雷への対処能力が付与されている。従来の海上自衛隊掃海艇と同様、磁気反応型機雷を避けるため木造であり、アメリカ海軍のアヴェンジャー級とともに、世界最大級の木造船舶となっている。
機雷の種類

A-海中,B-海底,SS-潜水艦
1-浮遊機雷
2-浮遊機雷
3-係維機雷
4-短係止機雷
5-沈底機雷
6-CAPTOR機雷/魚雷射出型機雷
7-上昇機雷
機雷の作動方法
機雷の作動方法として大きく分けると触発機雷 (Contact mines) と感応機雷 (Influence mines) の2つに分けられる。触発機雷は艦船が接触することにより爆発する機雷で、触角機雷および水中線機雷などがある。ヘルツ式触角を用いた触角機雷は現在でも見ることができる。感応機雷は艦船の航行により発生する船舶特性により機雷が感応して作動する機雷で、触発機雷に比べると広い危害範囲を持っている。
過去には、感応機雷には艦艇の磁気により乱れた地磁気に感応する磁気機雷、艦艇の出す音響に感応する音響機雷、艦艇が航行することにより発生する負水圧を感知する水圧機雷、船体とスクリューなどの異種金属間で発生する電流を捉えるUEP機雷などが開発され、21世紀の現在では、これら複数のセンサーからの情報に基づく高度な起爆条件が設定できる複合機雷が主流を占める。
ロシア帝国の係維機雷。突起に触れると爆発する古典的な触発機雷。

曳航掃海具のフロート(浮標)
これらが『浮き』だなんて、釣り師の人が驚くような感じだが






複合掃海説明図
感応(磁気・音響)掃海というもの。『71式音響掃海具S-2改』による磁力発生と『85式磁気掃海具S-6』による音響発生との挟み撃ちで感応型の機雷を爆破させる。

深深度係維掃海説明図
要は潜水艦を標的とする機雷をどう掃討するかの説明だ。係維掃海と機雷掃討とが一緒に描かれているが、よくわかりにくい。下記URLのほうが理解しやすそうだ。

機雷探知機AN/SQQ-32
可変深度式のソナー
機雷探知機AN/SQQ-32の写真は無し
説明図

SQQ-32VDS巻揚げ装置


上掲写真の説明図では掃海の仕組みが今ひとつ理解できなかったと思う。もう少しわかりやすい解説ページを見つけた。
比較的よく分かるのではないかと思われる解説ページヘjump