浦賀の幕末前後の遺跡を回る(4) - 浦賀の幕末前後の遺跡を回る_2014_Sep&Oct
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浦賀の幕末前後の遺跡を回る(4)

西浦賀(3)

西叶神社(2)
ここで取り上げた分は後日撮影した分
社殿の見事な彫刻
社殿の見事な彫刻_2_1
社殿の見事な彫刻_2_2
社殿の見事な彫刻_2_3
社殿の見事な彫刻_2_4
社殿の見事な彫刻_2_5
社殿の見事な彫刻_2_6
神紋
初め菊の御紋かと緊張したが菊葉の紋だった。東叶神社の神紋は、十六菊とのこと。東叶神社の方が畏れ多い感じだ。
菊葉の紋_1
菊葉の紋_2
漆喰鏝絵
『司馬温公甕割図』というものがあって、それを三浦の善吉が表現したものだそうだ。『破甕救児(はようきゅうじ)』の故事。そんなことまで知っていたのか。腕の良い左官職人というだけでなく、創意工夫の人であり、大変な勉強家でもあったようだ。
現在の社務所は、大正12年(1923)に発生した関東大震災の後、建てられたもので、それほど珍しい建物ではないが、玄関上部の壁画のようなものが異彩を放っている。これは漆喰鏝絵(しっくいこてえ)と呼ばれるもので、腕の良い左官職人が、鏝(こて)で漆喰を何度も塗り重ね盛り上げて、まるで彫刻のように浮き彫りにしたもの。
社務所の漆喰鏝絵の作者は、浦賀・川間の住人石川善吉。漆喰鏝絵と言えば伊豆の長八が有名で、生地の松崎には長八美術館まであるが、石川善吉は三浦の善吉と呼ばれ、長八に勝るとも劣らない腕前の持ち主だった。
浦賀は幕末から明治にかけて、廻船問屋が多く商人の町として栄え、土蔵造りが盛んで、腕の良い左官職人も多かった。その一人が石川善吉。昭和20年(1945)93歳で亡くなっているので、社務所の作品は70歳頃のものと思われる。浦賀周辺の神社仏閣には、石川善吉等の漆喰鏝絵が今でもいくつか残されています。

西浦賀の西叶神社社務所玄関欄間壁には「司馬温公」の鏝絵があります。司馬温公は中国北宋の人。ある日、友人と遊んでいる時、友人が誤って瓶の中に落ちたのを、温公が直ちに石で瓶を壊したという故事を、二間にわたって表したものである。昭和5年(1930年)に社務所建立の際、石川善吉が制作したという。
石川善吉の漆喰鏝絵作品_1
石川善吉の漆喰鏝絵作品_2
石川善吉の漆喰鏝絵作品_3
石川善吉の漆喰鏝絵作品_4
明治天皇駐輦跡
社殿の右手下に明治天皇駐輦跡(ちゅうれんあと)がある。これは、明治14年(1881)に明治天皇が観音崎砲台建設の様子を御覧になられた際、当時この場所にあった浦賀西岸学校の二階の一室に御休息されたのを記念して建てられた碑。
明治天皇駐輦跡_1
明治天皇駐輦跡_2
水屋の漱盤
参拝客がお参り前に手を清める水屋にある石の漱盤(そうばん)にも遊郭の主人・江戸屋半五郎の名が刻まれている。寄進は寛政元年(1789)と刻まれているので、大灯籠より44年前に寄進されたことになる。
半五郎は後に、世の無常を感じてか、突然、全ての財産を処分して、遊女達に分け与え解放。自らは京都青龍寺で得度。生き仏と言われた徳本上人の弟子となり仏門に帰依。深本(深心)と名乗り、全国を行脚したことで知られています。

水屋の漱盤
大灯籠
社殿の石段下には、銅製の大きな灯籠が一対ある。台石の部分には「新地町」と刻まれており、台石の上の灯籠下部には福本、江戸屋、亀屋、靍屋、玉泉屋、和泉屋の寄進者の名がある。
新地とは新しく拓かれた土地のことを指すが、遊郭の多い場所を指すこともあるので、この灯籠は浦賀の遊郭からの寄進であることがわかる。寄進は天保4年(1833)と刻まれているので、旧社殿が焼失する四年前に寄進されたことになる。

大灯籠
AzTak
Posted by AzTak
投稿 2014年10月23日
最終更新 2014年10月23日

22 Comments

There are no comments yet.

Mika  

AzTakさん、おはようございます♪

本当、彫刻が素晴らしいですね。
4枚目の右下にある、梅(木瓜?)の木の枝や花の細かいこと。
どういう工程で彫っていくのか見てみたいです。
今は3Dプリンターなるもので立体のオブジェなどを
難なく作ったりしていますが・・・
こういうのは人の手で少しずつ仕上げていくからこそ
温か味や味が出るのかな~なんて思ったりしました^^

漆喰鏝絵、これもすごい!まさに職人技!
鏝をどう操るかで職人の技量がわかる時代
ただ壁を塗るだけではダメなんですね。
本当の職人というのは、自分で試行錯誤しながら
こういう技術を体得していったのでしょうか♪

2014/10/21 (Tue) 22:16

AzTak  

Re: タイトルなし

> AzTakさん、おはようございます♪

Mikaさん、こんばんは。
ちょっと保存操作を間違えて公開にしてしまったようです。それなので、暫く、日の目を見るのが先のやりとりになってしまいます。
m(_ _)m

> 本当、彫刻が素晴らしいですね。
> 4枚目の右下にある、梅(木瓜?)の木の枝や花の細かいこと。
> どういう工程で彫っていくのか見てみたいです。
> 今は3Dプリンターなるもので立体のオブジェなどを
> 難なく作ったりしていますが・・・

地上で掘りあげてから、持ち上げて組み立てたんでしょうね。
ちなみに、碑文谷カトリック教会の聖堂内部の画は、イタリア人の絵画専門の修道士が来て、高い足場を組んで寝転がって描いたそうです。

> こういうのは人の手で少しずつ仕上げていくからこそ
> 温か味や味が出るのかな~なんて思ったりしました^^

まさしくそうなんでしょうね。

> 漆喰鏝絵、これもすごい!まさに職人技!
> 鏝をどう操るかで職人の技量がわかる時代
> ただ壁を塗るだけではダメなんですね。
> 本当の職人というのは、自分で試行錯誤しながら
> こういう技術を体得していったのでしょうか♪

三浦の善吉という名人が居たそうです。彼ばは、己の持てる技術を仲間内に惜しげも無く伝えたようです。
それもこれも、当時の浦賀がリッチな街で、土蔵があちこちにある土地だったからこそ、できたものだったのでしょう。今回と次回の2回分で、鏝絵を取り上げたいと考えています。例によって例のごとく自転車操業状況なので、そうしたいと考えているだけなんですが。

2014/10/21 (Tue) 23:17

keiko  

Az様おはよーございます。(*^O^*)

すごーい!漆喰?!なんと、読むのか?凄い作り方するんですね?盛り上げるとは?固い漆喰を?絵の具のようにして、形作るとは大胆な発想です。こてで?やるとは、た大変なことだったでしょうね?

2014/10/23 (Thu) 06:12

HARU  

こんにちは。

深い彫りのある重厚な彫刻、見事です。こて絵は技術伝承が難しくなっているでしょうね。漆喰の特徴を知り尽くした職人でなければ出来ない技ですものね。往時の浦賀の往時の繁栄を感じます。

2014/10/23 (Thu) 11:57

makira  

こんにちは!

AzTakさん、こんにちは!
素晴らしい彫り物ですね!
素晴らしいと言ってもあまり詳しくないので
今までの葛飾柴又帝釈天の彫り物ぐらいしか詳しく見てませんが・・・
竜の一本一本の髭まで・・・素晴らしいですね。
漆喰鏝絵も精巧を極めています。
絵画や彫刻が多種の筆やノミを使ったようにたくさんの種類の鏝があったのでしょうね!
描かれる題材はやっぱり中国のものが多いのでしょうか?

2014/10/23 (Thu) 12:36

のんびり熊  

AzYakさん

こんにちは
素晴らしい彫刻と鏝絵、機会が有ればこの眼で見たいですね。
こちらの鏝絵は八ヶ岳山麓の茅野市方面の有りますが、あまり見たことは無いので訪ねて見ようかな。

2014/10/23 (Thu) 12:52

aunt carrot  

素晴らしい鏝絵ですね。
絵の半端ない左官屋さんが三浦にいてくださったことは
誇りたくなりますね。
先日新しい鏝絵を拝見しましたが今回こちらを拝見したら
技量と才能の差が歴然としてきますね。
引き継がれる技としてはそうとう難しいでしょうが、
どこかでそうした技を育成していってもらいたいものですね。

2014/10/23 (Thu) 15:27

SONOMI  

素敵ですね
お天気もよく暖かそうです
しかし日本人って器用ですね
こんな細かな細工・・全部手仕事なのでしょうね
感心させられました

2014/10/23 (Thu) 16:07

dさん  

こんにちは

いつも思うのですが、道具も現代と比べたらろくになかった時代に
こうした凄い彫り物を作ったり昔の人の器用さには感心します

私など電動の道具を使って材料はホームセンターで綺麗にカンナのかかったものを購入しても
箱一つ作ってもろくな工作できないですから嫌になります

2014/10/23 (Thu) 17:49

ijin  

漆喰鏝絵

AzTakさん 今日は。

玄関上部の壁画のような、彫刻のよぷな「漆喰鏝絵」
昔はこのような職人さんが居たのですね。

三浦半島の歴史。AzTakさんのブログを訪れるたびに驚いています。

魚気違いは視野が狭い。

会社のOB会。
今も三浦半島を中心に釣りの例会開いています。
私の愚繰り返さないように教えます。

2014/10/23 (Thu) 17:52

モカ  

こんばんは

凄い彫刻ですね~
漆喰鏝絵、鏝で描かれているのですか!
掘ってるようにしか見えないほど繊細ですね。
彫刻も漆喰鏝絵もこういう職人技が光る作品は好きです。

2014/10/23 (Thu) 21:39

AzTak  

Re: タイトルなし

> Az様おはよーございます。(*^O^*)

keikoさん、こんばんは。

> すごーい!漆喰?!なんと、読むのか?凄い作り方するんですね?盛り上げるとは?固い漆喰を?絵の具のようにして、形作るとは大胆な発想です。こてで?やるとは、た大変なことだったでしょうね?

『漆喰』はkeikoさんのお好きな『しっくい』です。どのくらいの硬さに調整するのか、ド素人の私にはわかりかねますが、極めて繊細な技術がなければできない『鏝絵』でしょう。
ある程度以上、立体的な作品ですから、日頃からよくモノを観察する習慣がなければ、成立し得ない『ワザ』なんだと思います。

2014/10/23 (Thu) 22:12

土佐けん  

こんばんは

今日も見事な彫刻に目が止まりました^^
特に龍など今にも動き出しそうな雰囲気で凄いですね~~
作った人の魂が篭っているようですね!
日本の美に拍手です^^

2014/10/23 (Thu) 22:21

AzTak  

Re: こんにちは。

HARUさん、こんばんは。

> 深い彫りのある重厚な彫刻、見事です。こて絵は技術伝承が難しくなっているでしょうね。漆喰の特徴を知り尽くした職人でなければ出来ない技ですものね。往時の浦賀の往時の繁栄を感じます。

名人も直接教えを受けた人たちも戦後すぐに相次いで亡くなって、伝統の業が消えかかったのですが、次回取り上げる辰巳忠志という職人さんが、現役選手として頑張っているようです。三浦の善吉の孫弟子に当たる人らしいです。

私が高校生くらいの時は地域経済の牽引役として浦賀ドックも頑張っていたかと思いますが、その火も消えかかって、…。浦賀は沈んでいくだけの街なのかと思っていました。最近になって、少し先の川間の方にリゾートマンションなどができ、また、別な階層が住む街にもなってきそうです。でも、鏝絵の需要には結びつかないでしょうね。
ここは横須賀市がプロデュースして、東浦賀や西浦賀の保存活性化に取り組まないと、と思いました。

2014/10/23 (Thu) 22:26

AzTak  

Re: こんにちは!

> AzTakさん、こんにちは!

makiraさん、こんばんは。

> 素晴らしい彫り物ですね!
> 素晴らしいと言ってもあまり詳しくないので
> 今までの葛飾柴又帝釈天の彫り物ぐらいしか詳しく見てませんが・・・
> 竜の一本一本の髭まで・・・素晴らしいですね。

もう少しうまく撮ると良かったのですが、私の腕と機材とでは無理でした。でも実物は迫力がありました。特別な撮影許可を得ないと拝殿内部に寝転がっての撮影などできないでしょうが、そうしてみたかったです。(^_^;)

> 漆喰鏝絵も精巧を極めています。
> 絵画や彫刻が多種の筆やノミを使ったようにたくさんの種類の鏝があったのでしょうね!
> 描かれる題材はやっぱり中国のものが多いのでしょうか?

多分、鏝は色々なものを使い分けたんだと思いますが、よくわかりません。
社寺に捧げる作品ですから、どうしても故事を題材にしたくなるところなんでしょうね。でも、作家によるようですよ。次回も少し取り上げます。興味が有るようでしたら、他の社寺等を自ら尋ねられても宜しいかと思います。但し、階段を延々と上らなければいけないところもあります。お出かけになるとしたら、調子の良い日にしてくださいね。

2014/10/23 (Thu) 22:37

AzTak  

Re: AzYakさん

> こんにちは

のんびり熊さん、こんばんは。

> 素晴らしい彫刻と鏝絵、機会が有ればこの眼で見たいですね。

(ΦωΦ)フフフ…、来られるときは、その先の土地がいろいろ気になると思います。観音崎も剣崎も見どころはいっぱいあります。足を伸ばしたくなるはずですから、マイカーを走らせてきたほうが良さそうです。

> こちらの鏝絵は八ヶ岳山麓の茅野市方面の有りますが、あまり見たことは無いので訪ねて見ようかな。

まずは、近くからですよね。

2014/10/23 (Thu) 22:44

AzTak  

Re: タイトルなし

aunt carrotさん、こんばんは。

> 素晴らしい鏝絵ですね。
> 絵の半端ない左官屋さんが三浦にいてくださったことは
> 誇りたくなりますね。

確かに自慢の種になりますよね。

> 先日新しい鏝絵を拝見しましたが今回こちらを拝見したら
> 技量と才能の差が歴然としてきますね。
> 引き継がれる技としてはそうとう難しいでしょうが、
> どこかでそうした技を育成していってもらいたいものですね。

現役作家では、辰巳忠志さんという方が活躍されているようです。次回その方のものも取り上げてみたいと思います。まあ、三浦の善吉さんと比べられると本人も大変でしょうが。

2014/10/23 (Thu) 22:48

AzTak  

Re: タイトルなし

SONOMIさん、こんばんは。

> 素敵ですね
> お天気もよく暖かそうです

三浦半島は首都圏でも最も温暖な土地です。暮らしやすい土地だと思います。

> しかし日本人って器用ですね
> こんな細かな細工・・全部手仕事なのでしょうね
> 感心させられました

そういう方が少なからずいる国民なんでしょうね。日本の評判を上げるのに一役も二役も買っているんだと思います。
中には不器用なことこの上ない私のようなダメ爺さんもいますが。(^_^;)

2014/10/23 (Thu) 22:52

AzTak  

Re: こんにちは

dさん様、こんばんは。

> いつも思うのですが、道具も現代と比べたらろくになかった時代に
> こうした凄い彫り物を作ったり昔の人の器用さには感心します

もしかしたら、便利な道具が存在しなかったからこそ、器用さが涵養されたのかもしれませんね。

> 私など電動の道具を使って材料はホームセンターで綺麗にカンナのかかったものを購入しても
> 箱一つ作ってもろくな工作できないですから嫌になります

手がけるということは、既に、やる気に満ちているということでしょう。あとは精進するか否かの問題です。今のところ、撮影に忙殺されているでしょうから。
本当に不器用な私は、端から諦めて無駄な手出しはしないようにしています。

2014/10/23 (Thu) 22:57

AzTak  

Re: 漆喰鏝絵

> AzTakさん 今日は。

ijinさん、こんばんは。

> 玄関上部の壁画のような、彫刻のような「漆喰鏝絵」
> 昔はこのような職人さんが居たのですね。

ねちっこく取り組む腕の良い職人さんがいたようです。浦賀の奉行所も150年ほど続いたようです。それくらい、徳川幕府を維持する上で、重要な土地だったようです。加えて、干鰯や塩の商いなども盛んで、例え美行書がなくても、それなりに栄えた街だったんでしょう。
それだけに単なる土蔵でではなく、+アルファを欲しがったんだと思います。その答えの一つが鏝絵だったのでしょう。

> 三浦半島の歴史。AzTakさんのブログを訪れるたびに驚いています。
>
> 魚気違いは視野が狭い。
>
> 会社のOB会。
> 今も三浦半島を中心に釣りの例会開いています。
> 私の愚繰り返さないように教えます。

(ΦωΦ)フフフ…、お恥ずかしい。でも、鏝絵を見て歩くのは、かなりのお勧めです。
ですが、浦賀はすぐ後ろに山が迫っています。急階段を上がらなければいけないといけないところが少なくないんです。そこが難点です。

2014/10/23 (Thu) 23:05

AzTak  

Re: こんばんは

モカさん、こんばんは。

> 凄い彫刻ですね~

そうですよね。

> 漆喰鏝絵、鏝で描かれているのですか!
> 彫っているようにしか見えないほど繊細ですね。

掻くと言うより創りあげるという感じかもしれませんね。

> 彫刻も漆喰鏝絵もこういう職人技が光る作品は好きです。

次回も鏝絵作品をいくつか取り上げたいと思います。

2014/10/23 (Thu) 23:09

AzTak  

Re: こんばんは

土佐けんさん、こんばんは。

> 今日も見事な彫刻に目が止まりました^^
> 特に龍など今にも動き出しそうな雰囲気で凄いですね~~
> 作った人の魂が篭っているようですね!
> 日本の美に拍手です^^

こちらは、安房の代表的彫刻師、後藤利兵衛義光だそうです。千葉と横須賀とは海を渡ってくれば意外と近いんですよ。その昔は里美水軍の襲来に度々手を焼いていたので、浦賀城を作ったくらいですから。
仲良くなってからは、略奪ではなく、職人さんが来て仕事をするようになったんですね。後藤利兵衛義光の出世作だそうです。

2014/10/23 (Thu) 23:15

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