川崎市立日本民家園(15) - 川崎市立日本民家園_2014_Jun
FC2ブログ

川崎市立日本民家園(15)

今回取り上げる3つの建物の内、2つの建物は修復中。この民家園は展示グレードが高いのに、やたらに修復中の建物が多いのがつや消しかも。

(18)蚕影山祠堂(こかげさんしどう)《神奈川の村》
工事中で写真撮影も立ち入りも共にできなかった
川崎市重要歴史記念物
旧所在地:神奈川県川崎市麻生区岡上 東光院内
建物区分:宮殿および覆堂
構造形式:宮殿=一間社春日造、向唐破風造、こけら葺
覆堂=正面入母屋造、背面寄棟造、茅葺、桁行4.6m、梁行2.7m
建築年代:文久三年(1863)、宮殿棟札
 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
養蚕信仰を今に伝えるお堂
この建物は川崎市麻生区の東光院境内にあったもので、養蚕(ようさん)の神「蚕影山大権現(こかげさんだいごんげん)」を祭った宮殿(くうでん)と、その覆堂(さやどう)から成っています。覆堂の茅葺(かやぶき)屋根は、頂上を土と草で固める芝棟(しばむね)で、春にはイチハツが咲き誇ります。宮殿は正面に唐破風(からはふ)を設けた春日造風の社で、浮き彫りの彫刻を施しているのが特徴です。
中でも注目に値するのは、金色姫(こんじきひめ)伝説を表現した側面の彫刻です。金色姫は天竺(てんじく、現在のインド)に生まれ、四度の大苦難ののち、馬鳴菩薩(めみょうぼさつ)の化身として日本に養蚕を伝えたといいます。この彫刻は養蚕の起源を説くもので、四度の大苦難は蚕の四回の休眠(食事をせず動かなくなる脱皮前の時期)を象徴しています。

蚕影山祠堂
蚕影山祠堂
「鷹」の場面
「鷹」の場面
「舟」の場面
「舟」の場面

(19)岩澤家住宅(いわさわけじゅうたく)《神奈川の村》
こちらも修復中
神奈川県指定重要文化財
旧所在地:神奈川県愛甲郡清川村煤ヶ谷
建物区分:農家(名主の家)
構造形式:入母屋造、茅葺、桁行14.5m、梁行7.3m
建築年代:17世紀末期
 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
茶畑に囲まれた山間の農家
この建物は、名主(なぬし)もつとめた農家の家でした。谷間の斜面に敷地をひらき、江戸時代は炭焼きを中心に、焼畑(やきはた)農業や林業を仕事にしていました。
屋根は、典型的な入母屋造(いりもやづくり)です。間取りは、「ザシキ(居間)」「デエ(座敷)」「ヘヤ(寝室)」からなる広間型三間取りです。しかし、園内に移築された他の神奈川県内の古民家には見られない特徴がいくつかあります。まず、デエの正面を半間後退させ、ここにザシキへの出入口を設けています。また、デエには押板(おしいた、床の間の前身)を備え、ヘヤにはザシキからだけでなくデエからも出入りできるようになっています。

外観
大戸口右手の外壁は竹板が使われているようだ。こういうものもありなんだ。
岩澤家住宅_外観

(21)菅の船頭小屋(すげのせんどうごや)《神奈川の村》
説明の都合上、『(20)船越の舞台』の先に、これを取り上げる。
川崎市重要歴史記念物
旧所在地:神奈川県川崎市多摩区菅
建物区分:船頭小屋
構造形式:切妻造、杉皮葺、桁行1.8m、梁行1.8m
建築年代:昭和4年(1929)
 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
多摩川の「菅の渡し」にあった船頭小屋
この船頭小屋は多摩川の「菅(すげ)の渡し場」にあったもので、船頭が客待ち・休憩・川の見張りをするのに用いていました。
菅の渡しは、川崎側の菅と、東京側の調布とを結ぶ渡船場で、商品作物の輸送、肥料や日用品の仕入れ、親戚や寺への往来など、暮らしの中で使われていました。
この建物の屋根は杉皮葺きで、前後に傾斜させた「招き屋根」の形をしています。背面には小さな窓があり、対岸の客を見ることができるようになっていました。
なお、外回りの柱には大きな鉄の輪が取り付けられています。出水のさいにはこの輪に丸太を通して担ぎ上げ、小屋を移動させました。

菅の船頭小屋_1
菅の船頭小屋_2
小屋を移動させる様子
AzTak
Posted by AzTak
投稿 2014年07月09日
最終更新 -0001年11月30日

16 Comments

There are no comments yet.

MIka  

AzTakさん、こんにちは♪

菅の船頭小屋、面白いです^^
昔はこんなものが川の渡し場にあったんですね。
ただの小屋だけなら、ふ~ん、という感じですが
最後の絵を見て、持ち運びできることにびっくりしました。
作りは木だから、そんなに重量はなさそうですが・・・
とはいえ、4人ぐらいで運べてしまうものなんですね。
今日も興味深いことを教えていただきました。
AzTakさん、ありがとうございました♪

2014/07/09 (Wed) 05:03

HARU  

おはようございます。

いやはや、船頭小屋まで。これは想定外でした(笑)。移動式というのが川べりに建つ館らしくていいですねえ。今でいうタープテントかな。もちろん床なしなのでしょうね。面白いものを見せていただきました。

2014/07/09 (Wed) 09:50

masa  

こんにちは。

とぎれとぎれの訪問で申し訳ございません。
「船頭小屋」考えてありますね。
当時は雨量により増水することが、度々あったのでしょうね。
移動式は生活の知恵ですね。

2014/07/09 (Wed) 12:54

のんびり熊  

AzTakさん

こんにちは
金色姫が4度の大苦難の後、養蚕を伝えたと言うことは、うろ覚えです。
4度の苦難がお蚕さんの休眠だとは知りませんでした。
それにしても、”移動式番小屋” 何回か災難に遭うとやるもんですねえ
水が引けば、何事も無かったかのように元に戻す・・・

2014/07/09 (Wed) 13:24

花さか爺サン  

こんにちは
川崎市立日本民家園には、昔の珍しい古民家が沢山集めて展示してありますね。
”移動式番小屋” ユニークですね・・・・
昔は川がよく氾濫して流されていてたのでしょうから、こうした知恵も働いてきたんだと思います。
昔も今も知恵者はおるものですね。

2014/07/09 (Wed) 14:19

モカ  

こんにちは

毎日どこかで何件かを修復しているのでしょうね。
移動式の小屋、人の手で持ち運べるなんて凄いですね~
両方の川岸も見られるようにもなっていて、よく考えられた造りなのですね。

2014/07/09 (Wed) 15:54

keiko  

こんばんわ(ノ´∀`*)

ちょっとだけ、見えたのでコメントさせてもらいます。船頭小屋は、出水の時、、、か書いてありましたが、出水ってなんですか?無知なので、、、。しかし、面白い建物ですね。底は抜けないんでしょうかね?

2014/07/09 (Wed) 18:53

AzTak  

Re: タイトルなし

> AzTakさん、こんにちは♪

MIkaさん、こんばんは。

> 菅の船頭小屋、面白いです^^
> 昔はこんなものが川の渡し場にあったんですね。
> ただの小屋だけなら、ふ~ん、という感じですが
> 最後の絵を見て、持ち運びできることにびっくりしました。
> 作りは木だから、そんなに重量はなさそうですが・・・
> とはいえ、4人ぐらいで運べてしまうものなんですね。
> 今日も興味深いことを教えていただきました。
> AzTakさん、ありがとうございました♪

これが昔の多摩川の川岸にあったんですね。少し離れた高いところにあれば、避難などしなくても済むのかもしれませんが、東北大震災の津波の被害を受けた方と一緒で、遠くにあったのでは話にならないということなんでしょう。
見た感じ重くはなさそうで、昔の人の体格が如何に小柄でも楽々担ぐことができたと思います。

2014/07/09 (Wed) 19:26

AzTak  

Re: おはようございます。

HARUさん、こんばんは。

> いやはや、船頭小屋まで。これは想定外でした(笑)。移動式というのが川べりに建つ館らしくていいですねえ。今でいうタープテントかな。もちろん床なしなのでしょうね。面白いものを見せていただきました。

床はなかったようです。でも、一応腰掛けて暖を取ることが出来る仕掛けになっていたようです。考えたものですね。
船頭小屋は1間四方の小規模な建物で、軸部は玉石の上に土台を井桁に組み、杉の角柱を四隅に立てて貫で固めている。屋根は正面に腕木を出して小庇を造り、背面を片流れとした招き造りにして、杉皮葺である。正面に腰高障子2枚を建て、ほかは堅羽目の上に化粧の目板を打った板壁とし、その前の土間に石組の囲炉裏を切り、両側の壁際に取り付けた板に腰掛けて暖をとった。なお、柱の外側に取り付けてある鉄の輪は、出水の際に、そこに丸太を通して小屋を担ぎ、移動させるためのものである。

2014/07/09 (Wed) 19:34

AzTak  

Re: こんにちは。

masaさん、こんばんは。

> とぎれとぎれの訪問で申し訳ございません。

少しはお疲れがとれましたか。masaさんのことですから、充電期間中も写真のことであれやこれや考えていたことでしょう。そうでないと、いざというときに、良い写真を撮ることができないかもしれません。でも、考えるくらいにとどめ、身体を少し休めることを…

> 「船頭小屋」考えてありますね。
> 当時は雨量により増水することが、度々あったのでしょうね。
> 移動式は生活の知恵ですね。

昔の多摩川は結構荒れたんでしょうね。それほど昔じゃなくても、大水で河川敷にヘドロが堆積し、巨人の多摩川グランドが暫く使えない。当然、河川敷のゴルフ場も。そんなことがありました。

2014/07/09 (Wed) 19:42

AzTak  

Re: AzTakさん

> こんにちは

のんびり熊さん、こんばんは。

> 金色姫が4度の大苦難の後、養蚕を伝えたと言うことは、うろ覚えです。
> 4度の苦難がお蚕さんの休眠だとは知りませんでした。

金色姫の話は恥ずかしながら全く知りませんでした。養蚕をしている地区では大切な話だったことでしょうね。

> それにしても、”移動式番小屋” 何回か災難に遭うとやるもんですねえ
> 水が引けば、何事も無かったかのように元に戻す・・・

暴れ川の多摩川でしたから。それこそ増水した時は手が付けられないほどの恐ろしい川に大変身してしまいます。私のかみさんが怒った時みたいなものでしょう。取り敢えずさっと逃げます。

2014/07/09 (Wed) 19:48

AzTak  

Re: タイトルなし

> こんにちは

花さか爺サンさま、こんばんは。

> 川崎市立日本民家園には、昔の珍しい古民家が沢山集めて展示してありますね。

次回はあっと驚くものが登場します。ちょっとだけ期待していてください。

> ”移動式番小屋” ユニークですね・・・・
> 昔は川がよく氾濫して流されていてたのでしょうから、こうした知恵も働いてきたんだと思います。
> 昔も今も知恵者はおるものですね。

天下の暴れ川だった多摩川ですから。怒り狂っているときは大慌てで避難するしかなかったのでしょう。
その多摩川は、ひところは汚い川の代名詞が付けられていましたが、今では、かなりの数の鮎が遡上するほどに水質が回復したようです。鮎が回遊魚だって知っていましたか。稚鮎は羽田沖で待機し、時期が来ると一斉に遡上するんだそうです。
近年では毎年安定的に100万尾を超え、平成23年には783万尾の稚アユが多摩川を遡上したと推定されてい…

2014/07/09 (Wed) 19:55

AzTak  

Re: こんにちは

モカさん、こんばんは。

> 毎日どこかで何件かを修復しているのでしょうね。

何と言っても『古民家』というくらいですから、かなりの経年物件であることは間違いがありません。
よほど注意して維持管理していかないと、朽ちてしまう可能性があるのでしょう。
そうならないように維持管理していくのは、大変なことだと思います。

> 移動式の小屋、人の手で持ち運べるなんて凄いですね~
> 両方の川岸も見られるようにもなっていて、よく考えられた造りなのですね。

腰かけて暖を取れるようになっていたとは、凄いものですね。

2014/07/09 (Wed) 20:00

AzTak  

Re: タイトルなし

> こんばんわ(ノ´∀`*)

keikoさん、こんばんは。

> ちょっとだけ、見えたのでコメントさせてもらいます。船頭小屋は、出水の時、、、か書いてありましたが、出水ってなんですか?無知なので、、、。しかし、面白い建物ですね。底は抜けないんでしょうかね?

『出水』とは、この場合は、多摩川が大氾濫することを指しています。そのとき河川敷にとどまっていれば、濁流に飲み込まれて土左衛門になること間違いなしです。急いで逃げるしかなかったようです。
ご質問の床はなかったんです。
囲炉裏は石で作ったものが土間にありました。暖を取るには、壁に作った腰掛けに腰を下ろして、火にあたったようです。逃げるときには囲炉裏の上を越していく必要があったので、最初だけ小屋を大きく上に担ぎあげたのでしょうかね。

2014/07/09 (Wed) 20:08

土佐けん  

こんばんは

移動式船頭小屋、よく考えられていますね!
増水時には移動させる・・・
今も台風が来ております(^^;
家も簡単に移動出来たら良いんですけどね。
この台風で被害が無いことを祈ります。

2014/07/09 (Wed) 21:58

AzTak  

Re: こんばんは

土佐けんさん、こんばんは。

> 移動式船頭小屋、よく考えられていますね!
> 増水時には移動させる・・・

こういうふうにでもしないと、大水の度に小屋を建てなおさなければいけないでしょうから、経済的叙情から考えたのでしょうね。

> 今も台風が来ております(^^;
> 家も簡単に移動出来たら良いんですけどね。
> この台風で被害が無いことを祈ります。

ものすごい規模の台風だそうです。こういう時は外出を控えるのが一番でしょうが、現役世代はそういう訳にはいかないでしょうね。
周囲の皆さんが、無事でありますように。

2014/07/09 (Wed) 22:38

Leave a reply