鎌倉五山ほかを訪ねる(20)
鎌倉文学館
鎌倉文学館は、神奈川県鎌倉市長谷にある鎌倉ゆかりの文学、特に鎌倉文士をテーマにした鎌倉市立の資料館である。3階建てであるが、3階は木造であり非公開となっている。
1890年頃に侯爵前田利嗣の鎌倉別邸として建てられたが、1910年(明治43年)に火事により失われた。現在の建物は侯爵前田利為が1936年(昭和11年)に洋風に全面改築した建築物である。渡辺栄治が設計し、竹中工務店が施工している。
戦後の一時期、デンマーク公使や内閣総理大臣佐藤栄作の別荘として使用されたが、1983年に前田利建から鎌倉市に寄贈され、外観をそのままに内部の補修・収蔵庫の新築をおこない、1985年10月31日に開館した。
2000年(平成12年)3月、国の登録有形文化財となった。
2月の収蔵品展は、「生誕110年 小津安二郎」だった。小津監督が嫌いなわけではないが、文学館に行って、映画作品の展示ばかりで、他にはごくわずか、『ビブリア古書堂の事件手帖』のセル画展示があるのみ。やや期待はずれの展示内容だった。
おまけに、此処も建物内部は写真撮影禁止扱いになっていた。京都の悪しき習慣が日本全土に蔓延しているようで、到底納得出来ない。
文学館に至る道






文学館(旧前田侯爵の鎌倉別邸)







美しい庭

染谷太郎太夫時忠邸阯
時忠は、鎌倉の大臣山(鶴岡八幡宮の裏山)に鎌を埋めたという藤原鎌足の玄孫で、東大寺の良弁僧正の父といわれ、 関東八カ国の総追捕使であった。時忠は、また由井の長者といわれ、710年、甘縄神社を創建した。
※鎌足の伝説は浄妙寺にも残されている
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染屋太郎時忠ハ藤原鎌足ノ玄孫ニ當リ 南都東大寺良辨僧正ノ父ニシテ 文武天皇ノ御宇(皇紀一三五七~一三六二)ヨリ 聖武天皇ノ神亀年中(皇紀一三八四~一三八九)ニ至ル間 鎌倉ニ居住シ 東八箇國ノ総追捕使トナリ 東夷ヲ鎮メ 一ニ由井長者ノ稱アリト傳ヘラルヽモ 其事蹟詳ナラス 此處ノ南方ニ長者久保ノ遺名アルハ 彼ノ邸阯ト唱ヘラル 尚甘縄神明宮ノ別当甘縄院ハ時忠ノ開基ナリシト云フ
こんなものが、文学館から由比ヶ浜駅への帰途にあった。昭和十四年三月 鎌倉町青年團か。ずいぶん古いものになってしまった。

以上で、『鎌倉五山ほかを訪ねる』シリーズはお終いです。最後までご覧いただきありがとうございました。