いわき~小野~三春(4)
JRA競走馬総合研究所常磐支所内にある競走馬のためのリハビリ施設。ここでは、過酷なレースを戦い抜いてきた競走馬たちが、馬専用の温泉に浸かり休養をとったり療養している。いわば再生のための施設だ。過去にはグリーングラス、サクラスターオー、ミホノブルボン、ファインモーション、ノーリーズン、ヒシミラクルといった重賞勝ち馬もこの施設を利用して療養を行ったそうだ。


馬場でのトレーニング




















温浴場
湯本温泉の豊富な湯量と泉質を利用した温泉療養は、疲労回復を促進するとともに、屈腱炎・関節炎などの故障の治癒に大きな効果をあげています。

ウォータートレッドミル


スイミングトレーニング施設

逍遥(しょうよう)馬道
馬をリラックスさせるためのいわば「遊歩道」で、道に敷かれている茶色いものは土や砂ではなくウッドチップ(木屑)です。ウッドチップの上を歩かせることは、砂の上を歩かせることに比べて脚に負担をかけなくて済むからです。写真では木の陰になって見えにくくなってしまっていますが、外からまる見えでは馬がリラックスできませんから、これで当たり前でしょう。

厩舎









JRAのトラック

常磐支所の役割
競馬関係者は、競馬の主役である競走馬の健康管理に日頃より細心の注意を払っています。しかし、競走馬は厳しいトレーニングと競走によって故障を発症することも少なくありません。競走馬総合研究所常磐支所は、これらの競走馬を環境の変化と温泉療法によって回復させること、および温泉療法の効果に関する研究を行なうことを目的とし、昭和38年5月に設立されました。
常磐支所に入所する馬の大半は、屈腱炎や骨折を始めとする運動器疾患のために休養を余儀なくされた競走馬です。これらの馬を競走に復帰させるためには、故障を治療するとともに、低下した関節や筋肉の機能、さらにはトレーニングに耐え得る体力を回復させるためのリハビリテーションが必要です。適切なリハビリテーションの実施には、獣医学的な検査によって故障の回復程度を把握し、これに応じた治療と運動を実施することが重要です。そこで当支所では、運動器疾患の診断と治療法、およびスイミングプール、ウォータートレッドミル、ウォーターウォーキングマシンなどの施設を利用したリハビリテーションに関する研究に取り組んできました。この結果、従来は困難であった屈腱炎の予後判定と治療、さらには適切なリハビリテーション・プログラムの作成が可能となり、早期の回復と再発の防止に寄与しています。
設立以来、当支所で療養した競走馬は約2700頭にのぼり、その大半がGI競走を含むレースで活躍しています。今後も、傷ついた競走馬を競馬に復帰させ、ファンの皆様により質の高いレースを提供することが、常磐支所に課せられた使命と考えています。