江戸東京たてもの園(8)
看板建築の建物が並んでいる中で、この建物だけは異種のモルタルのものだと思っていた。だから、見せ方に統一性がないと思っていたのだが、それは間違いだった。これも立派な看板建築のバリエーションの内だとのこと。何もファザード(建物の正面をなす外観)に銅板を使ったものだけを看板建築というのでは無さそうだ。この建物の場合は、単なるモルタルではなく、人造石洗い出しという特殊な手法で仕上げたものらしい。
ファザードにイオニア式の柱まで作ってしまう凝りよう。まるで、昔の丸の内のビルのミニ版だ。すごいものだ。西洋へのあこがれが相当強い時代だったのだろう。




はりぼてのようだがイオニア式の飾り柱に見えなくもない




台東区池之端の不忍通りに面して建っていた小間物屋(化粧品屋)です。
昭和前期には、化粧用のクリーム・椿油や香水等を作って、卸売りや小売りを行っていました。正面は人造石洗い出しで、イオニア式の柱を持ち、当時としてはとてもモダンな造りとなっています。
[台東区池之端二丁目/1928年(昭和3)]
看板建築とはなんぞやということが気になってきたので、調べてみた。
①木造の建物で建物の前面がファサード(平坦な造り)になっている。
(土蔵造りや出桁造りのような軒の出が無い。)
②外観上3階建てに見えるものが多いが、その殆んどが2階建てに屋根裏を設けた造り。
③屋根には、屋根裏を設けるのに有効なマンサード屋根(腰折れ屋根)を用いることが多い。
④ファサードは銅板やタイル、スレートを張ったり、モルタルで仕上げる。
これは防火対策を計ったものだが、建物を表情豊かに飾り立てる手段ともなっている。
⑤外観は洋風、内部は和風。
⑥間口が狭く、奥行きのある建物が多い。1階入ってすぐが店舗。その奥と2階以上が居住空間となっている。