『和のあかり×百段階段2018』を見に行った(1)
雅叙園で開催中の『和のあかり×百段階段2018』を見に行った。いつも微妙なあかりの美しさを撮り切れずに失敗撮影を繰り返すのがわかっているので、いい加減にやめようかと思っている。そんな時、他の方のブログに素晴らしい画がUPされた。堪らず、私も参戦したのだが、彼我の差はとてつもなく大きかった。
当日はプロ写真家上田晃司氏の基礎講座を聞きに行ったのだが、ちょっと基礎知識を頭に入れただけで見違えるような画が撮れるわけではなかった。まあ、それでも、折角撮ったので、何回分かに分けて撮り上げることとする。まずは、雅叙園の手前の一角から。
西運上人関連のもの
ここに登場する西運上人こそが、八百屋お七の思われ人「寺小姓吉三」の、その後の姿だった。『私には一切かかわりあいのないこと』とシラを切りとおすことだってできたはずだ。なのに、一心に己の罪の大きさを感じて祈り精進の日々を送ったらしい。常人には真似できることではなかろう。
行人坂の勢至菩薩像
自分が罪を犯したわけではないが、感じるところがあったのだろう。下記の説明文にあるように、目黒不動と浅草観音に毎日参詣したのだそうだ。私でも、一日限りであれば、目黒不動と浅草観音とに徒歩で参詣できるかもしれない。そんな生易しいことではなく、来る日も来る日も毎日欠かさず続けたそうだ。その信念の強固さたるや、見上げたものだ。それで人々の喜捨を受け、それで目黒川に石橋をかけたのか。付近住民の上人に対するの感謝の気持ちが、この勢至菩薩像なんだ。




大円寺門前より行人坂を少し登ったところにある勢至堂に置かれています。台座97センチメートル、蓮華20センチメートル、勢至菩薩52センチメートルから成り、勢至菩薩は両手を合掌し、片膝を立てて座っています。
台座の前面と両側面には、江戸時代中期の目黒川架橋に関する銘文が刻まれています。銘文からは、宝永元年(1704年)に僧の西運が目黒不動と浅草観音に毎日参詣し、その途中で人々の報謝を受け、これをもとに目黒川の両岸に石壁を造り、石製の太鼓橋を架けたことがわかります。
阿弥陀堂
もともとは明王院にあった。その明王院が、明治13年に大円寺に吸収された。ということで、大円寺の境内に阿弥陀堂として祀られている。この中にお七地蔵と西運上人の像が祀られているそうだ。

大圓寺
何度も書いたが、江戸三大大火の一つといわれる1772年(明和9年)2月に発生した大火(明和の大火・行人坂火事)の火元となった寺である。武州熊谷無宿の真秀という坊主による放火で、大圓寺自身もとんだとばっちりだったのだが、『怪しからん』ということで、江戸幕府から再建の許可が得られなかった。
それが一転して再建の許可が下りたのは、江戸時代後期の1848年(嘉永元年)になってからのこと。薩摩藩主島津斉興の帰依を得たことから、その菩提寺としてようやく再建を許されたのだった。
木造釈迦如来立像(重要文化財)
提げられた提灯には、『生身釈迦如来』と書かれてある。「清凉寺式」の釈迦如来像だから、そのように書かれるのは当然のことなのだろう。制作年代の判明する清凉寺式釈迦如来像としては最古の作品だそうだ。鎌倉の杉本寺にあったものが、どうして目黒に所在しているのだろうか?不思議なことだ。

こちらはオリジナルの清涼寺に伝わる国宝の画像(PDF画像を借用)
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附:菊花双雀鏡1面(鏡面に「釈迦如来、建久四年十月十六日、丹治氏乙犬女」の線刻がある)
附:紙本墨書紙片3枚(「丹治氏乙犬女」「記千□(歳)女」「公□氏」とある)
「三国伝来の霊像」と称される京都・清凉寺の本尊釈迦如来像を模した、いわゆる「清凉寺式」の釈迦如来像。身体の露出が少ない衣の付け方、同心円状の衣文、縄目状の頭髪など、清凉寺式釈迦如来像の典型的な様式を示す。本像は、像内納入品の銅鏡の線刻から、鎌倉時代初期の建久4年(1193年)の造立と判明する。また、像内に納入されていた宝永4年(1707年)の木札の記載により、この像は当時鎌倉の杉本寺にあったことがわかる。清凉寺式釈迦如来像の典型作であるとともに、制作年代の判明する清凉寺式釈迦如来像としては最古の作品として貴重である。
大円寺石仏群(東京都指定有形文化財)





520躯(釈迦三尊像 3躯、十大弟子像 10躯、十六羅漢像 16躯、五百羅漢像491躯)
天明年間(1780年代)、前述の目黒行人坂火事の犠牲者追悼のために作られたとされている。
とろけ地蔵
この石仏群の手前、本堂横に顔や手が溶けたような、一体の異様な地蔵が立っている。この地蔵は「とろけ地蔵」と呼ばれ、江戸時代に漁師が海から引き上げたもので、昔から悩み事をとろけさせてくれる、ありがたいお地蔵様として信仰されてきたとか。
本堂
なかなか味わいのある本堂だ。建てるにあたっては、薩摩藩島津家から応分の寄付があったのかなあ。



薬師如来
金箔でひときわ目立つ薬師如来像だ。真言を唱えながら、身体の悪い箇所に金箔を貼り付けてやるとよいのだそうだ。金箔は札所で買い求めることができるとか。

庚申塔



山門
