またも出かけた日本民家園(16)
園内の建物に含めるかどうかは微妙だが、この建物が一番新しく築後86年。あまりにくたびれているので少なくとも百年は経過しているのかと思ってみていたが、意外に新しいものだと知って驚かされた。そして、渡し場自体は昭和48年まで存続した様だ。
この船頭小屋は多摩川の「菅(すげ)の渡し場」にあったもので、船頭が客待ち・休憩・川の見張りをするのに用いていた。
屋根は杉皮葺きで、前後に傾斜させた「招き屋根」の形をしている。そして前後につけられている鉄環がわかるだろうか。これは反対側にもついている。これに棒を通し、いざというときに安全なところまで担いで非難したのだそうだ。4人で担いだのだろうか。重量的には力持ちならば1人でもイケそうな感じだが、非常時には4人も人が確保できないかもしれない。担ぎ方次第では2人でもイケたのかなあ。

担ぎ方はこんなふう

正面からの写真は昨年6月のもの。気づかなかったが、障子戸は開けると宙に浮く感じなんだ。

背面には小さな窓があり、対岸の客を見ることができるようになっていた。窓がついているのは承知していたが、そういう使い方をしたのか。気が付かなかった。

『多摩川の渡し』を説明したHPへjump
川崎市重要歴史記念物
旧所在地:神奈川県川崎市多摩区菅
建物区分:船頭小屋
構造形式:切妻造、杉皮葺、桁行1.8m、梁行1.8m
建築年代:昭和4年(1929)