またも出かけた日本民家園(12)
園内で一番古いと考えられる家で、非常に閉鎖的な造りだそうだ。確かに開口部などは断然少ない感じだ。少し室内の採光性が良くないようだ。北村家住宅が328年前の建物だそうだから、それより古いとなると、350年ほど前の建物だろうか。17世紀後期と推定するだけでは、経年数がよくわからないが、その間に専門家の目から見ると時代が変わったとする要素が見られるのだろう。
建物はこの民家園からそれほど離れていない市内の多摩区登戸にあったそうだ。
外観
芝棟の植物はイチハツ。最初に見た時はぺんぺん草が生えているのだと勘違いした。5月には白い花が咲くようだ。それも見たことがあるが、ぺんぺん草の類にしてはきれいだなと思ったほどだから、鈍感すぎたようだ。
イチハツ(一初、学名:Iris tectorum )はアヤメ科アヤメ属の多年草。アヤメの類で一番先に咲くので、「一初(イチハツ)」の名があるそうだ。白い花だった記憶があるので、シロバナイチハツだと思う。

デエは外から出入りするときの利便を考えてのことだろうが、庇を少し長く張り出してある

茅葺き屋根の裏側にはびっしりと苔が生えている。これでも大丈夫なのか心配になるほどだ。

屋内
間取り

デエドコ
屋内には勝手がない。炊事は目の前に小川が流れていたので、そこで行ったそうだ。



ヒロマ

土間とヒロマの境には格子窓があった。何の目的があったのだろうか。

デエ

ウラベヤ
この家のものではないと思うが、実に珍しい車長持があった。明暦三年の振袖大火の際に、これがつっかえ通せんぼして、被害を大きくしたようだ。それがために、車付きの長持は天和三年に製造を禁止されたとか。
この部屋は布団を畳んで重ねて置いてあった部屋なのだろうか。


ヘヤ
ヘヤという名前の納戸。竹簀子の間になっていたようだ。もちろん筵などなし。用事があるときは、竹踏み健康法を実践することになろう。納戸だから、それでもかまわなかったのだろうか。

立派な手斧梁だ

神奈川県指定重要文化財
旧所在地:神奈川県川崎市多摩区登戸
建物区分:農家
構造形式:寄棟造、茅葺、桁行13.6m、梁行8.2m
建築年代:17世紀後期