何度目かの川崎市立日本民家園(14)
合掌造りとはまた違った豪雪地帯に対応した家屋。どちらのほうが寒さに強かったのだろうか。
外観
外から見た格好がものすごく良い。惚れ惚れするほどだ。

屋根に高窓(ハッポウ)を設けて採光の工夫していたのだそうだ。どれくらいの効果なのかは、屋内の写真で確認されたい。





グシグラという屋根棟
茅葺屋根の屋根棟としては、
1)竹簀巻き(たけすまき)…編んだ竹で棟の茅を巻く構造。日本各地で多く見られる。
2)置千木(おきちぎ)…木を組み合わせて棟を覆う構造。木材の豊富な山間部に見られる。
3)笄棟(こうがいむね)…茅を棟に積み重ね、屋根から突き出させた木材に締めて固定する構造。
4)芝棟(しばむね)…意図的に木や草を生やし、その根で棟の弛みをなくす構造。
などがあるようだ。このクシグラは置千木に類するものなのだろう。

家屋内部








高窓(ハッポウ)を設けて採光の工夫をしているので、眩しいほどの光が射し込んでいた


神奈川県指定重要文化財
旧所在地:山形県鶴岡市松沢
建物区分:農家(肝煎の家)
構造形式:寄棟造(高ハッポウおよびハッポウ付き)、妻入、一部二階、背面庇付、茅葺、桁行15.8m、梁行9.6m
建築年代:18世紀末期
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屋根に高窓のある豪雪地帯の家
湯殿山麓の田麦俣(たむぎまた)集落やその周辺には、ハッポウ造と呼ばれる独特の民家が分布しています。養蚕のために二層三層をつくり、屋根に高窓(ハッポウ)を設けて採光の工夫をしたその姿は、非常に特徴的です。
菅原家住宅もこのハッポウ造の民家で、高い軒や板壁で囲った外観などに豪雪地域の家づくりがうかがえます。
豪雪は間取りにも影響しています。大戸口前のアマヤ(前室)をはじめ、ニワ(土間)に物置やイナベヤ(板敷)を設ける点などは、雪の多い冬場の暮らしを考慮した工夫です。
見どころポイント!
雪に濡れたものを脱げるよう、入り口にアマヤを設けています。
積雪時にも立て付けが悪くならないよう、敷居に車が設けてあります。
以上で『何度目かの川崎市立日本民家園』シリーズを終了します。最後までご覧頂き有難うございました。