何度目かの川崎市立日本民家園(7) - 何度目かの川崎市立日本民家園_2015_Jun
FC2ブログ

何度目かの川崎市立日本民家園(7)

(12)沖永良部の高倉(おきのえらぶのたかくら)
形状がかなり異なるが、スペイン北部には『オレオ』と呼ぶ高床式の穀物倉庫がある。この沖永良部の高倉を見るたびに、それを思い出す。オレオの場合は、底板が幅広くネズミが重力に逆らって垂直になる部分まで到達できない仕掛けになっている。沖永良部の場合は、金属板を円柱に巻きつけてそこをよじ登れないようにしたのか。ネズミは大敵なんだ。
沖永良部の高倉_1
沖永良部の高倉_2
石敢当と呼ばれ、邪気を払う神として道路の突き当りや門・橋などに祀られる
沖永良部の高倉_4
川崎市重要歴史記念物
旧所在地:鹿児島県大島郡和泊町
建物区分:倉
構造形式:寄棟造、茅葺、桁行2.7m、梁行2.5m
建築年代:19世紀後期

 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
高倉といえば東大寺の正倉院校倉が有名ですが、沖縄・奄美諸島、九州南端、八丈島など黒潮の流れに沿った地域には、柱の上に茅葺屋根をのせた高倉が分布しています。
珊瑚礁岩の礎石に立つ円柱は、イジュという毒性のある木を用い、頭部を鉄板巻きにして鼠などが登らないよう工夫をしています。中は穀物などの貯蔵庫として利用し、出入口には一木でつくった梯子をかけました。
倉下(くらんた)と呼ばれる床下は風が抜けるようになっており、内部の湿害を防いでいます。この場所は子どもの遊び場、休憩所、籾摺り場などにも活用されました。
なお、高倉手前にある石碑は「石敢当(いしがんとう)」といいます。沖縄から九州南部にみられ、邪気を払う神として道路の突き当りや門・橋など祭られます。
見どころポイント!
ネズミ等の侵入を防ぐため、柱の頭部を鉄板で巻いています。
倉の下は子どもの遊び場や休憩所になっていました。


道端にて
六地蔵がこんな感じで存在していた
六地蔵がこんな感じで存在していた

(13)広瀬家住宅(ひろせけじゅうたく)《関東の村》
この住宅は何度見ても、見慣れることがない。その大きな理由は『土座』があることだ。本音を言えば、私は土座嫌だ。土座じゃいけない理由ってなんだろう。いつも考えこんでしまうのだが、生理的な嫌悪感なのかなあ。何故、床のある家を作ったのかということと相通じる問題かもしれない。
外観
大戸口側(東側)の軒が異様に低く、腰を屈めないと潜れないほど。そして屋根の天辺に、イワヒバを植えた「芝棟(しばむね)」になっていること。その2点がかなり目立つ。芝棟はそれほど珍しいものではなさそうだ。
外観_1
外観_2
外観_3
外観_4
屋内
何と言っても、土間と同じ高さの土座が異様なほどに目立つ。座ってみた感じは、そんなに居心地悪くはないのだが。強烈な隙間風対策なのかなあ。
土座_1
土座_2
土座_3
土座_4
他は普通の農家並みかもしれない
他は普通の農家並み_1
他は普通の農家並み_2
他は普通の農家並み_3
神奈川県指定重要文化財
旧所在地:山梨県甲州市塩山上萩原
建物区分:農家
構造形式:切妻造、茅葺桁行14.5m、梁行8.9m
建築年代:17世紀末期

 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
芝棟と土座のある甲州民家
甲府盆地の民家は切妻造(きりづまづくり)の妻壁(つまかべ)に柱を見せ、屋根中央を「突き上げ二階」とする形式が知られています。この家も移築前はそのような姿でしたが、調査の結果、当初は二階がなかったことがわかりました。屋根裏を養蚕に利用しはじめたことにより、突き上げ二階としたのです。
構造は、内部の四本の太い柱を中心にして組み立てられています。これは「四つ建(よつだて)」と呼ばれるもので、甲州の古式な手法です。屋根の頂上はイワヒバを植えた「芝棟(しばむね)」になっています。内部には土間(どま)と並んでイドコと呼ばれるムシロ敷の居間があります。床板を張らないこのような床を「土座(どざ)」といい、ムシロの下は地面をつき固め、茅束(かやたば)が敷き詰められています。
見どころポイント!
風の強い山の斜面にあったため、軒が低くなっています。
居間には床板を張らず、地面の上に茅束とむしろを敷いて暮らしていました。

AzTak
Posted by AzTak
投稿 2015年07月21日
最終更新 2015年07月21日

15 Comments

There are no comments yet.

HARU  

しばらくご無沙汰しておりました。
久しぶりの訪問でしたが、AzTakさんの十八番シリーズで懐かしい感じでした。川崎の民家博物館は何度訪れてもまた行きたくなる不思議な魅力があるのでしょうね。

2015/07/21 (Tue) 00:15

cobo-fe  

関西で正倉院の校倉造と言えば、宮内庁管轄の奈良に宝物館があります。
湿気防止方式のようですが、それでも時々虫干しをしているとニュースで聞いたことがあります。
それに引き替え、イドコと呼ばれるムシロ敷の居間は珍しいですね。湿気や虫が大変と思いますが・・・何か生活の地があるのでしょうか・・

2015/07/21 (Tue) 06:43

S-masa  

こんにちは。

地域が変わると萱葺きも趣が違いますね。
ムシロ!今では見ることが出来なくなりました。懐かしい!

2015/07/21 (Tue) 11:29

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2015/07/21 (Tue) 14:10

めぐる  

こんにちは

沖永良部では穀物倉庫をこんなにも高くしたのですね。ネズミ対策は出来ても屋根裏ですから熱は大丈夫なのでしょうか、茅葺きは断熱に優れているのでしょうね。広瀬家住宅の土座というのにも驚きました。旧所在地は山梨県甲州市とありますから冬はとても冷えたのではないでしょうかね。

2015/07/21 (Tue) 15:54

花さか爺サン  

AzTakさま  こんにちは
沖永良部の高倉は毒性のある木を用いたり、頭部を鉄板巻きにして鼠などが登らないよう工夫をしたり、高倉の下は風が抜けるようになっており、内部の湿害を防ぎ、子どもの遊び場、休憩所、籾摺り場などにも活用出来るように実用的に考えられていますね。
今でも立派に通用しそうです。
ムシロは今ではとても珍しいです。
昔は、此方の地方では、ムシロは籾を広げて天日乾燥に使用れていましたが・・・・・
我が家には、今でもムシロが畳まれて、小屋の2階に保存されています。

2015/07/21 (Tue) 16:06

のんびり熊  

AzTakさん

こんばんは
広瀬家住宅の芝棟、熊のブログ4月1日の大きいものと思われます。
熊の記憶では、昔、遥か昔の甲州で見たような・・・・

2015/07/21 (Tue) 20:21

AzTak  

Re: タイトルなし

HARUさん、こんばんは。

> しばらくご無沙汰しておりました。
> 久しぶりの訪問でしたが、AzTakさんの十八番シリーズで懐かしい感じでした。川崎の民家博物館は何度訪れてもまた行きたくなる不思議な魅力があるのでしょうね。

こちらは、リピートしたくなる魅力がないといえば嘘になるでしょうが、一巡できていないのが、繰り返し行っている大きな理由かなあと思っています。
こちらは、毎日何件かの家屋を『床上げ公開』しています。基本的にこの日以外はその家屋の土間から先には上がることが出来ないのです。超胴長の体型を利して精一杯伸びて撮ろうとするのですが、見えないものは見えないのです。
行った時に同じ家屋が公開していたり、何度行ってもアウトのところもあったりで、なかなか一巡できていないのです。
もう少しボランティアの方を増やして、2回ほど行けば、一巡できると嬉しいのですが。
もしかしたら、川崎市のリピート客獲得戦略なのかもしれません。

2015/07/21 (Tue) 21:26

AzTak  

Re: タイトルなし

cobo-feさん、こんばんは。

> 関西で正倉院の校倉造と言えば、宮内庁管轄の奈良に宝物館があります。
> 湿気防止方式のようですが、それでも時々虫干しをしているとニュースで聞いたことがあります。
> それに引き替え、イドコと呼ばれるムシロ敷の居間は珍しいですね。湿気や虫が大変と思いますが・・・何か生活の地があるのでしょうか・・

土座はおったまげました。本当にむしろが湿気てしまったり、中から虫が湧いたりしそうですね。天気の良い日にはむしろを干したり、敷きワラを取り替えたりするのでしょうが、どうなんでしょうね。私はきちんとした床の上で寝たいなと思います。
次に出てくる竹簀の子床はいかがでしょうか。
つくづく普通のものがいいと思います。

2015/07/21 (Tue) 21:38

AzTak  

Re: こんにちは。

S-masaさん、こんばんは。

> 地域が変わると萱葺きも趣が違いますね。

関東地方の古民家はへんてこりんなものが次から次へと。昔の関東地方は決して裕福な土地ではなかったのでしょうかね。

> ムシロ!今では見ることが出来なくなりました。懐かしい!

今どき、屋外レジャーでも、レジャーシートとか茣蓙を使用し、むしろを敷くことなど殆ど無いことでしょうね。
屋外どころか屋内で使用するというのですから、驚いてしまいます。そこにどかっと腰掛けて農作業をすることもあったのでしょうが、居間として使用するのはできることならしたくない気がしています。
そうは言ってもお金がなければ、仕方なくそうしたかなあ。…わかりません。

2015/07/21 (Tue) 21:48

AzTak  

Re: こんにちは

めぐるさん、こんばんは。

> 沖永良部では穀物倉庫をこんなにも高くしたのですね。ネズミ対策は出来ても屋根裏ですから熱は大丈夫なのでしょうか、茅葺きは断熱に優れているのでしょうね。

断熱には優れているとは思いますが、できれば低温貯蔵がいいのでしょうね。そうは言っても、昔は雪国でもなければ、そんなことできかねたことでしょう。次善の策だったのかもしれませんね。

> 広瀬家住宅の土座というのにも驚きました。旧所在地は山梨県甲州市とありますから冬はとても冷えたのではないでしょうかね。

少なくとも床下から隙間風が吹き込むことはなかったようです。そのことをボランティアの説明員は強調していましたが、、じゃあ、納得して時分で真似をするかと言われれば、…。地面からの冷え込みは敷きワラを厚めに敷くことで何とかなったのでしょうか。何れにしても、生きていくのが大変な時代だったようです。

2015/07/21 (Tue) 22:05

土佐けん  

こんばんは

茅葺き屋根も場所によって建て方が違うんですね~
板の間にむしろだけを敷いた部屋・・・
軟弱な僕達では10分と座っていられないでしょうね(^^;

2015/07/21 (Tue) 22:06

AzTak  

Re: タイトルなし

> AzTakさま  こんにちは

花さか爺サンさま、こんばんは。

> 沖永良部の高倉は毒性のある木を用いたり、頭部を鉄板巻きにして鼠などが登らないよう工夫をしたり、高倉の下は風が抜けるようになっており、内部の湿害を防ぎ、子どもの遊び場、休憩所、籾摺り場などにも活用出来るように実用的に考えられていますね。
> 今でも立派に通用しそうです。

スペイン北部に行くと、高床式の穀物倉庫『オレオ』というのがあります。形は似ても似つかないものですが、ねずみ返しの知恵などが講じられています。ビスケットの商品名のようですが、昔の農家の実用品です。

> ムシロは今ではとても珍しいです。
> 昔は、此方の地方では、ムシロは籾を広げて天日乾燥に使用れていましたが・・・・・
> 我が家には、今でもムシロが畳まれて、小屋の2階に保存されています。

つまり、今じゃ使われなくなってしまいましたかねえ。その内、『それ何』と聞かれる時代が来ることなんでしょうね。

2015/07/21 (Tue) 22:11

AzTak  

Re: AzTakさん

> こんばんは

のんびり熊

> 広瀬家住宅の芝棟、熊のブログ4月1日の大きいものと思われます。
> 熊の記憶では、昔、遥か昔の甲州で見たような・・・・

この住宅のお里も甲州ですから、記憶違いではなさそうですね。
茅葺屋根の天辺の始末の仕方って、難しいんでしょうね。土で固めて、その土が落ちないように浅く広範囲に根が広がる適当な植物を探し出してきたようですね。

2015/07/21 (Tue) 22:17

AzTak  

Re: こんばんは

土佐けんさん、こんばんは。

> 茅葺き屋根も場所によって建て方が違うんですね~

色々取り巻く条件が違うでしょうから、それに合わせて建てるんでしょうね。

> 板の間にむしろだけを敷いた部屋・・・
> 軟弱な僕達では10分と座っていられないでしょうね(^^;

ははは、板の間ではなく、土を突き固めたその上に稲藁を敷き、その上にむしろを置くんです。ぐんと、低いですから、超低アングルで写真を撮る時のような目線になります。
このつぎに出てくる竹簀の子床も、かなりの難物です。

2015/07/21 (Tue) 22:23

Leave a reply