会津若松~いわき~相馬・南相馬(9)
見学、試飲と続くと相当に時間がかかりそうなので、先に嘉永蔵の入口周辺の様子を撮っておくことにした。なお、日本経済新聞NIKKEIプラスワン(2013.1.26号)で「訪ねて楽しい日本酒の蔵元」第1位に選ばれているのだそうだ。


寅さんシリーズのカメラマン高羽哲夫氏の展示スペースもあった


仕込み用の水は、持ち帰り自由だそうだ。朝、汲みに来る方がかなりいらっしゃるとのことだ。そして、酒をビンなどに詰めて持ち帰る昔の小売り用の小窓もあった。

再び蔵の中。入ったすぐのところで色々と見てみる。



野口英世の母シカさんが行商や新鶴村の中田観音にお参りに行く途中に度々立ち寄り、この囲炉裏で朝食をとったようだ。恩師の小林栄校長先生の姉がこの末廣に嫁いでいたので、その挨拶をも兼ねてのことだったようだ。

もたもたしている間に説明が始まっていた。慌てて、途中参加させてもらう。まずは醪室にはいる。

蔵人体験”my酒造り”の説明。普通の市販用清酒の醸造は西に約10キロ離れた場所にある平成8年に建てられた博士蔵蔵で行っているらしい。この蔵では、蔵人体験”my酒造り”に参加してもらったり、見学説明用に使用している。



小型の搾り機。もろみを麻袋に入れておもりを掛けて絞りだす。その残りカスが酒粕になるわけだ。蔵人体験”my酒造り”用に用意したものだとのこと。細かい説明が続いたが、失念してしまった。






酒造米のサンプル。酒造専用米には『心白』というものがあるそうだ。我々が普通食べる米にはそういうものがないらしい。

酒造専用米は、丈が高いのが特徴のようだ。山田錦は本場のものと福島のものとを使い分けしているとのことだが、悔しいことながら本場のものの方が質が良いようだ。土壌の違いなのだろうか。

蔵人体験”my酒造り”用に使用する蒸し釜。普段は、あの穴の中に入れてあるが、内部修復中のため、引き上げてあるとのことだった。




長期保存熟成中。写りが良くないと思ったら、変なフィルタを装着したままだった。



麹室の模型。本物が中で作業するものもっと大きいものだそうだ。

【杜氏の独り言】
「きもと」の改良型とも言うべき「山廃」。
「きもと」の山卸作業を廃止したのが「山廃」のわけですが、時々「きもとの手抜き」とか「きもとを簡略化したもの」なんて言われます。
でも、手抜きではなく「きもと」と同じように自然界から乳酸を生成し、その自然環境の中で酵母を純粋培養するという作業で、とても大変な労力と手間がかかり、日数も一緒です。
「山廃」の創始者嘉儀金一郎氏は、大正初めに3年間末廣に来てその山廃造りの試験醸造を行い、末廣に山廃造りを伝えていかれました。
ちなみに、いつもニコニコして、当時のいかつく口煩い蔵人達にも優しく「酒造り」を教えてくれたそうです。
「まるで神様のようだった」と言われていたそうです。
そんな嘉儀金一郎氏直伝の末廣の山廃。
ずっと今後も伝承しなければならない造り方です。
次回も見学記事が続きます。