散歩三昧

散歩や旅行の合間に撮った写真に簡単な説明を加えました

 

川崎市立日本民家園(11)

(14)太田家住宅(おおたけじゅうたく)《関東の村》

非常に残念なことに、大雨の影響で見学不可の状況だった。国指定重要文化財なだけに、是非とも詳しく見ておきたかったのに。
修復工事が完了していないというのに、関東地方はこのところしつこくゲリラ豪雨に見舞われている。何とかこの大雨に耐えぬくことができるといいのだが。ということで、写真の枚数はごく少なくて大変申し訳ない。

国指定重要文化財
旧所在地:茨城県笠間市片庭
建物区分:農家(名主の家)、分棟型
構造形式:主屋=寄棟造、茅葺、桁行9.6m、梁行8.3m/土間=寄棟造、妻入、茅葺、桁行10.0m、梁行8.3m
建築年代:主屋=17世紀後期/土間=18世紀後期
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家の中に雨どいのある二つ屋根の家
この建物は二棟が軒を接して建つ、分棟型(ぶんとうがた)の民家です。大戸口を入ると広い空間がひろがっています。ドマの右手がウマヤ、左手が主屋です。主屋は日常生活の場であるヒロマ、寝室であるヘヤ、そして畳敷きのザシキに分かれます。ザシキは正式な部屋で、この部屋に客人が訪れる際には土庇(どびさし)が出入口となりました。
広い土間では、雑穀などの農作業も行われていました。
なおこの家には、突出する馬屋や囲炉裏の位置など、南部地方の曲屋と類似する点があります。江戸時代後期には茨城県や栃木県でも曲屋が作られており、この家はその影響を受けた分棟型といえます。

以前に取り上げた作田家住宅と同様に分棟型の民家で、分棟の雨樋(丸太を刳り貫いて作った樋)がある。雨樋は、屋外にまで飛び出していて、勾配がつけられていてそこから排水するようになっていたのだろう。運悪く樋が詰まると家の中に雨水があふれたそうだ。今回の公開中止もそれが原因だったのだろうか。
外観
随分、茅葺きがくたびれた感じで心配だ
外観_1
外観_2
外観_3
外観_4
内部
ザシキ
建物の外から撮った
ザシキ
ヒロマとドマ
縄でしっかり括りつけられている『分棟の雨樋』がわかるだろうか
ヒロマとドマ
分棟の雨樋
機織りも行っていたようだ
機織りも行っていたようだ
太田家の間取り
太田家の間取り
残念な表示
残念な表示

解説(川崎市教育委員会HP)
 太田家住宅の旧所在地は茨城県笠間市片庭で、近世初頭にはすでにこの地に居住し、また名主の家柄と伝える旧家である。太田家住宅の大きな特徴は、棟方向を別にするふたつの屋根を接続して一軒の家を構成していることである。このような煮炊きをする竈を置く釜屋(土間)と居住部分に、別々に屋根をかける形式は分棟型または釜屋建などと呼ばれ、八丈島や南西諸島などに多く分布することから、かつては南方系の住居形式と考えられてきた。しかし太田家の茨城県中西部、あるいは栃木県宇都宮市の周辺にも昔はこうした家が存在したことが確認されるに及んで、このような解釈は再考を迫られることになった。
 太田家の外観は、ひとつの屋根の下に土間も居住部も含む周辺の農家とは大きく相違しているが、間取りは基本的にはそれらとなんら変わるところがない。いわゆる広間型3間取の一種である。土間がかなり広いが、これは土間部分だけ一度建て替えられているからで、解体時の発掘調査によれば、当初の土間は桁行2.5間程度の小さなものであった。
主屋は17世紀末頃の建築、土間は18世紀後期頃と推定されている。
 居住部はヒロマとザシキ、ヘヤの3室からなるが、日常生活の中心であるヒロマと土間との間には何の仕切りもなく、ひとつながりの空間である。そしてヒロマ前面を格子窓とするのはこの時期の関東地方の古民家に共通する構えである。ザシキは唯一畳敷の接客間だが、天井は竹簀子で、床の間もなく、客間としての形式が整えられていない。ヘヤは寝室で、ヒロマ側に入口を設けるほかは壁で閉ざされる。
 別棟の土間は前面が主屋より前に出ているが、これはこの地方の民家に共通する形である。つまりこの地方では土間の厩の部分が前に出て、全体の平面がL字型になる。いわゆる曲屋の形式が一般的である。太田家の土間が建て替えられた時期には曲屋が一般化していたため、当家でも平面の形状はこれにならったのであろう。
 主屋と土間とは年代が違うため、その構造もかなり相違している。例えば、主屋は棟束併用の扠首構造であるのに対し、土間では棟束は用いない。そして主屋では前面の半間を下屋とするため、前面より3尺入った位置に上屋根を立てるというきわめて古式な構法を見せている。また各室境や外周には1間ごとに柱を立て、柱の省略が全く行われていないし、ヘヤの内部には使用上邪魔になるはずの独立柱が2本残されたりしているなど、かなり古風である。これに対し、土間は内部に柱を全く立てないし、また梁行梁を二重に組み、桁行梁との交点は大栓で固定するという、進んだ構法が採られている。
 なお、主屋部は土壁だが、土間廻りは板壁である。主屋と土間が接する部分の屋根には大きな谷ができるが、ここには大きな樋を設けて雨水を処理している。
 このように太田家は分棟の形式を今に伝える貴重な遺構であり、かつ茨城県のこの種の民家では最も古く、この地方の民家の発展を知るうえで欠かせない存在である。
 平成2年7月29日、生田緑地内で打ち上げられた花火が屋根に落下し、主屋のヘヤを中心に焼損したが、復旧修理工事が行われ、平成4年10月31日に竣工した。

Comments

こんばんは! 
AzTakさん、こんばんは!
確かに↓の広瀬家の茅葺き屋根は太田家と比べると、
地面に届くくらいに長いですね!
昔は板の間も贅沢で土座が多かったのかもしれませんね。
ましてや、座敷なんて超贅沢な部屋だったのでしょうね!
夏の土座は快適かもしれませんが、雨の日や冬は耐えられませんね!
2つの茅葺き屋根が接するところの雨樋も工夫がされているのですね!
最近の経験したことのない豪雨は江戸時代でもなかったのでしょうね 笑)
それにしても、市とか県ではなくて国指定の重要文化財とは驚きです。
 
AzTakさん、こんにちは♪

昔の家の作りは、どれも似たようなものなのだと思っていたので
細かいところの仕様に、色々な工夫が凝らされているのには驚きました。
『分棟の雨樋』誰が考えたのか、面白いですね。
せっかく見学に行かれたのに、公開中止は残念でしたね。
関東地方は大雨が続いているんですか?
洪水にならなければよいですが・・・
 
おはようございます。
この笠間の太田家住宅の分棟型の屋根構造はとても興味深いです。
南方から伝わって那珂川沿いを北上?

こんなに古い民家を移築した場所があるんですね。
おはようございます。 
 江戸時代の建物ですね。この家屋もですが、今回のシリーズで木の耐用年のことをあたらめて思いました。現代の鉄骨コンクリートの建造物と違い生命感があります。家が生きて呼吸しています。人間の生き方考え方に及ぼす居住空間の影響を考えています。
AzTakさん 
こんにちは
この辺は暖かいのでしょうか?
囲炉裏が無い。
合掌造り地方では、一見幅くらいの家もあります。
山梨ではチョット小さくなりここでは有りません。
室内で「暖」を取る必要が無いのでしょうか?
寒冷地にいると変なことが気になります。
こんにちは 
茨城県笠間市ですか。
笠間にも昔住んでいましたよ~w
土間が本当に広いですね~!
Re: こんばんは! 
> AzTakさん、こんばんは!

makiraさん、こんばんは。今日はちょっと横浜の高いところを2箇所回ってきて肝を冷やした後、お通夜に出て、やっと戻ってきました。

> 確かに↓の広瀬家の茅葺き屋根は太田家と比べると、
> 地面に届くくらいに長いですね!

風よけらしいですが、薄暗くて大変だったのではと思いました。

> 昔は板の間も贅沢で土座が多かったのかもしれませんね。
> ましてや、座敷なんて超贅沢な部屋だったのでしょうね!
> 夏の土座は快適かもしれませんが、雨の日や冬は耐えられませんね!

土座が多かったかどうかは私にはよくわかりません。ただただ驚いてしまって。

> 2つの茅葺き屋根が接するところの雨樋も工夫がされているのですね!
> 最近の経験したことのない豪雨は江戸時代でもなかったのでしょうね 笑)

どうだったんでしょうね。いまは、国指定の重要文化財なので粗末にするわけにもいかず、川崎市の担当者が青い顔をして修復策を講じている最中なんでしょうね。それにしても、この家は、生田緑地内で打ち上げられた花火が屋根に落下し、主屋のヘヤを中心に焼損した事故にも遭いました。ご難続きの家になってしまいましたね。
昔だったら、せっせと囲炉裏で乾かしたり、防腐処理をしたりして凌いだのでしょうが、…。

> それにしても、市とか県ではなくて国指定の重要文化財とは驚きです。

此処には国指定の重要文化財指定の家屋が7棟ある他に、国指定の重要有形民族文化財に『船越の舞台』が指定されていて、その数だけでも圧倒されます。凄いものです。
Re: タイトルなし 
> AzTakさん、こんにちは♪

Mikaさん、こんばんは。

> 昔の家の作りは、どれも似たようなものなのだと思っていたので
> 細かいところの仕様に、色々な工夫が凝らされているのには驚きました。

そうですね。もう少し似たものではないかと思っていたのですが、最後まで飽きさせないでくれました。

> 『分棟の雨樋』誰が考えたのか、面白いですね。

瓦屋根じゃないので、雨水の始末は考えなくてはいけない重要ファクタだったんでしょうね。

> せっかく見学に行かれたのに、公開中止は残念でしたね。

本当はもう少し写真を撮ったのですが、EOS M2に慣れていないため、失敗写真を続けてしまいました。本当にかなり広い『ドマ』で、『ウマヤ』も2つ並んでいたので、ぜひとも紹介したかったのですが、本命をミスってしまい残念です。

> 関東地方は大雨が続いているんですか?
> 洪水にならなければよいですが・・・

今年は徹底的に関東というか首都圏が責められている感じです。
三鷹・国分寺の雹も度肝を抜かれました。
Re: タイトルなし 
> おはようございます。

Romanさん、こんばんは。

> この笠間の太田家住宅の分棟型の屋根構造はとても興味深いです。
> 南方から伝わって那珂川沿いを北上?

それらしきことが、市教育委員会のHPには書かれていますねえ。
興味が湧いてきたのではありませんか?

> こんなに古い民家を移築した場所があるんですね。

そうなんですよ。修復して移設したのですが、この家屋も含めて国指定の重文のオンパレードで、後でそれを知った地元自治体が悔しがったようですよ。そんなこんなでこういう家屋収集のスピードはガクンと落ちてしまったようです。
Re: おはようございます。 
HARUさん、こんばんは。

>  江戸時代の建物ですね。この家屋もですが、今回のシリーズで木の耐用年のことをあたらめて思いました。現代の鉄骨コンクリートの建造物と違い生命感があります。家が生きて呼吸しています。人間の生き方考え方に及ぼす居住空間の影響を考えています。

昔の人達は、素材の使い方が上手かったんですね。ありふれた材木である松が丈夫だということも、かなり幸いしたのでしょう。
ただ、小さな部屋が限られていて、若い夫婦の秘め事などにはちょっと苦労したのかもしれませんね。そんなの現代人が考えそうな贅沢な悩みかも。
Re: AzTakさん 
> こんにちは

のんびり熊さん、こんばんは。

> この辺は暖かいのでしょうか?
> 囲炉裏が無い。
> 合掌造り地方では、一見幅くらいの家もあります。
> 山梨ではチョット小さくなりここでは有りません。
> 室内で「暖」を取る必要が無いのでしょうか?
> 寒冷地にいると変なことが気になります。

すみません、見えにくかったですよね。上から6枚目の写真におぼろげに写っています。間取り図で四角く記されているところです。この家屋はドマが異様に広いんです。分棟分だけでは足らず、もうひとつの棟にまで食い込んでいます。それで、ウマヤも2つあるものですから、相当ヒロマの端っこに設えてあるんでしょうかね。
それと境目の茅を乾かす意味があったのかも。

近くの袋田の滝が冬になると前面氷結したりするくらいですから、暖房不要ということでは無いと思います。というか、かなり寒いところだと思います。でも、囲炉裏はバカでかくはありませんね。冬は寒くて大変だったと思いますが、ひたすら我慢したのでしょうか。薪はいくらでもあったと思うんですが。
Re: こんにちは 
モカさん、こんばんは。

> 茨城県笠間市ですか。
> 笠間にも昔住んでいましたよ~w

そうですか。かなりの転勤族なんですね。大変だったことでしょう。

> 土間が本当に広いですね~!

びっくりするほどだだっ広いですね。写真を撮りたかったのですが、ボケ写真ばかりでした。
かなりだだっ広いところの戸が閉められていると、かなり薄暗くて、…。
こんばんは 
はた織機ってテレビでなら見たことがあるんですが、
実物はまだ見たことが無いんですよ~~
大雨のため、内部の公開は中止ですか・・・残念でしたね!
関東の方はゲリラ豪雨が多くて大変みたいですね~
被害が広がらないことを祈ります。
Re: こんばんは 
土佐けんさん、こんばんは。

> はた織機ってテレビでなら見たことがあるんですが、
> 実物はまだ見たことが無いんですよ~~

私も飾ってあるものを見たくらいで、実際に織っているところは何処で見たのか覚えていないくらい。(^_^;)

> 大雨のため、内部の公開は中止ですか・・・残念でしたね!

茅葺屋根が傷んでいたのかもしれませんね。とりあえず差し茅工事は行うんでしょうが、もっと大掛かりな補修が必要なんでしょうかねえ。

> 関東の方はゲリラ豪雨が多くて大変みたいですね~
> 被害が広がらないことを祈ります。

どういうわけか首都圏に集中していますね。今まで無風だった分だけ、敵をとられているみたいです。
帰りの足が乱れて帰り着くまで5時間もかかったなどという例が少なくないようです。翌日疲れたからといって休むわけにもいかず、現役の勤め人は大変だと思います。
 
おはようございます。
笠間市片庭の太田家ですか。
私の知り合いに片庭に住んでいる太田さんがいらっしゃるけど、一族かな?
川崎にこんなところがあるなんて知りませんでした。
こんど横浜に行ったら行ってみたいと思います。
Re: タイトルなし 
> おはようございます。

troyさん、こんにちは。

> 笠間市片庭の太田家ですか。
> 私の知り合いに片庭に住んでいる太田さんがいらっしゃるけど、一族かな?
> 川崎にこんなところがあるなんて知りませんでした。
> こんど横浜に行ったら行ってみたいと思います。

一応念の為に寄贈者などが記された木の立て札を撮ってきていたのですが、此処は公開中止としてあったので撮りませんでした。おそらくは、本人、もしくは、かなり親しい人なのではないでしょうか。
川崎市生田ですからすぐ来れると思います。その前に修理が完了していればよいのですが。事前に問い合わせしたほうが良いかもしれませんね。何しろ大きな土間なので、締め切られてしまうと薄暗くなって、…。

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